岩国に住む「みんな」が主人公。街づくりを自分事として捉え、持続可能な街づくりを目指す。

山口県の東端に位置する岩国市は、江戸時代には城下町としても発展しました。その象徴ともいえるのが、有名な5連アーチの錦帯橋で、木造橋としては国内屈指の美しさを誇り、日本三名橋の一つにも数えられています。歴史に彩られた観光都市である一方で、人口流出による通行量の減少、消費の低迷、そして大型商業施設の閉店により、「岩国」駅周辺の空洞化が進行しているのが現状です。

これに対し、「人、街、仕事をつなぐ街づくり」というスローガンを掲げる「株式会社街づくり岩国」は、地域活性化に寄与しています。市民一人ひとりが街づくりに参加することの重要性を認識し、これまでに「まちなかピクニック」をはじめとするさまざまなイベントを開催し、地域のにぎわいを創出してきました。今回「株式会社街づくり岩国」の方に、岩国の魅力やこれからの街づくりについてお話を伺いました。

街づくり岩国が掲げる「岩国駅周辺地区グランドデザイン」表紙
街づくり岩国が掲げる「岩国駅周辺地区グランドデザイン」表紙

自然豊かで、アクセスが便利な岩国

――「岩国」エリアはどんな街か教えてください。

街づくり岩国 岩国は交通の利便性が高く、便利な街と豊かな自然がほどよく調和しています。錦帯橋などの観光スポット、米軍基地もあるので歴史と国際色も兼ね備えているエリアです。

交通面では市街地から20分ほどで山陽自動車道 岩国ICがあり、「新岩国」駅には新幹線も停車します。岩国錦帯橋空港もあるので、始発の便に搭乗すれば羽田空港に朝10時には着けます。岩国に住まいを置いて、広島市内に働きに行かれる方も多いです。市街地を離れれば豊かな自然があふれ、高速道路を使えば山口の湯田温泉や萩の城下町にも行くことも可能です。

錦帯橋や岩国城など観光スポットも目白押しなので、歴史を感じられます。岩国市英語交流センター「PLAT ABC」を訪れれば、ボードゲームなどを通してネイティブスピーカーの方と英語で交流できます。

「錦帯橋」
「錦帯橋」

――「岩国」エリアでのおすすめスポットを教えてください。

街づくり岩国 お子様がいるご家庭には、愛宕山ふくろう公園が人気です。この公園は全長50mのローラーすべり台を始め、遊具が充実しています。災害時はマンホールトイレや防災あずまやが、災害対応施設として機能します。公園周辺にはランニングコースがあるスポーツ施設もありますので、走るのが趣味な方にもおすすめです。

グルメ好きな方には、「いろり山賊」にぜひ行ってほしいです。若鳥を炭火でこんがり焼きあげた山賊焼が名物料理で、1本丸々豪快にかぶりついて食べるのがくせになります。まさに気分は山賊です。駅前にはテレビで取り上げられた注目のラーメン店「寿栄広食堂」があります。豚骨醤油ベースの中華そばを求めて、連日多くのお客さんが来られています。

「愛宕山ふくろう公園」
「愛宕山ふくろう公園」

3つの事業を通して街づくりに貢献する

――「街づくり岩国」の取り組みについて概要を教えてください。

街づくり岩国 「岩国」駅周辺の中心市街地を活性化する事業に取り組んでおり、魅力あふれる街づくりに関わらせていただいています。具体的には出店サポート、移住・定住サポート、駐車場事業などです。

出店サポートでは「岩国」駅周辺で出店を検討している方を対象に、空き店舗ツアーを行っています。各不動産会社と連携しているので、さまざまな物件を内見することができ好評です。まちなか再生補助金の相談を受け付け、申請受理まで岩国市とのやり取りも行います。

移住・定住サポートでは移住者同士の交流会の開催や、地域交流にもつながる移住体験プログラムも実施しています。また、岩国で暮らす魅力をウェブ上で発信もしています。

駐車場事業では、「岩国まちなかパーキング加盟店」へサービス駐車券を販売しています。このサービス駐車券は、駅周辺の20カ所あまりある有料駐車場で使用できます。この事業により駅周辺でお買い物をされる方の利便性の向上に努めています。

「株式会社街づくり岩国」外観
「株式会社街づくり岩国」外観

未来の岩国を形にした「岩国駅周辺地区グランドデザイン」

――中でも現在進行中の「岩国駅周辺地区グランドデザイン」策定の背景と目的について教えてください。

街づくり岩国 岩国市が作っている中心市街地活性化基本計画に沿って、事業の円滑な推進、街のにぎわいの創出を目指しグランドデザインを作成しました。

郊外に大型ショッピングセンターが台頭したり、ネット通販などで買い物をしたりする方が増え、商店街を中心とした駅周辺のにぎわいは衰退しています。今こそ「みんな」が街の一員として、街づくりを「自分事」として進めることが求められているため、街の未来像を描いたグランドデザイン策定に至りました。

「岩国駅周辺地区」グランドデザイン対象エリア
「岩国駅周辺地区」グランドデザイン対象エリア

――グランドデザインの対象エリアとコンセプト、具体的な施策について教えてください。

街づくり岩国 「岩国駅周辺地区」として、「岩国」駅を中心に半径400~500mの範囲を本グランドデザインの主な対象として設定しました。地区内は5つのエリアがあり、コンパクトな中心市街地が形成されています。

コンセプトは他の街にはない多くの魅力やポテンシャルを「みんな」で引き出し、にぎわいを創出することです。そのためには3つの軸が必要です。

1つ目は、「核プロジェクト」です。再開発事業など規模の大きなプロジェクトで、活性化に向けて起爆剤になるようなものを指します。現在駅周辺の一部商店街をビルにする、岩国駅前南地区市街地再開発事業が進行中です。令和10年(2028年)に完成を目指すこの事業が実現すれば、ビルの中に岩国市がにぎわい創出施設を設ける予定です。施設には図書館や子育てに使える屋内遊戯広場、ヨガやダンスが楽しめる多目的スタジオも設けられます。

2つ目は、「リノベーション」です。空き家・空き店舗・空き地などの「遊休不動産」を改修して、『機能』や『価値』を再生し、活性化のサイクルをつくります。弊社がある建物の2階はもともと美容院でしたが、改装してレンタルオフィスClassLaboとして多くの方にご利用いただいております。事業をされる方、会議室を使われる方、自習室として使われる方と用途もさまざまです。値段も1か月水道光熱費込みで8,000円~とお手頃ですので、気軽にお問い合わせください。

本通商店街エリア プレイスメイキングイメージ
本通商店街エリア プレイスメイキングイメージ
 

3つ目は、「プレイスメイキング」です。現在、商店街にフラッグサインなどを掲示していますが、将来的には行政や近隣商店と協力してベンチを増やしたり、オープンテラスを作ったり、植物や花を植えたりしてにぎわいの場を生み出していきたいと思います。時間はかかりますが、それぞれのエリアでプレイスメイキングを行い、住民同士が触れ合える場を作っていきたいです。

「みんな」で街をつくり、持続可能な街づくりを実現する

――“「みんな」が街づくりに関われるような仕掛けづくり”を掲げられていますが、現在進行しているものについてお教えください。

街づくり岩国 岩国での「暮らし」を楽しむことをコンセプトに、新たな街づくりのムーブメント「岩国くらす」を立ち上げました。主にエリアマネジメント、地域ブランディングを行っています。

岩国の街に来て楽しむ「来楽す(宛て字)」、岩国で起業する「蔵す」など暮らすという言葉が発展し、5つの意味をもっています。チームとした「クラス」の意味も込められています。

具体的には「来楽す」に焦点を当てた、まちなかピクニックというイベントを開催しました。コンサートや書道パフォーマンス、特産品の販売などさまざまな団体をコラボレーションでき、これからも継続して開催する予定です。イベントの中で「岩国くらす」のPRもできました。このムーブメントを浸透させて、「みんな」が街づくりに関われるような取り組みをしていきたいです。

「岩国くらす」 イメージ
「岩国くらす」 イメージ

――街づくりにあたって、大切にされていることをお聞かせください。

街づくり岩国 街づくりにおいては「みんな」がそれぞれのペースで、継続できるのが大切です。商店街の協力を得て「岩国くらす」のロゴをデザインしたフラッグを掲げてもらい、取組の第一歩としました。周辺商店街との連携を大切にすると共に、小・中学生を対象に街づくり講演会を行い、岩国の街づくりの未来像を伝える努力もしています。「みんな」が求める街を考え、それぞれの持ち味を生かしながら、持続可能な街づくりを目指していきます。

――最後に、これから岩国エリアにお住まいになられる方々へメッセージをお願いします。

街づくり岩国 岩国市は中学生までは医療費と給食費が無料、第一子の出産からお祝い金10万円を進呈するなど子育てに力を入れています。子育て環境が整い、「みんな」で街づくりに取り組む温かい街です。これからも「人、街、仕事をつなぐ街づくり」を合言葉に、街づくりを推進していきます。岩国に来ていただければ、あなたにとって第2の故郷が見つかります。お会いできるのを楽しみにしております。

 
岩国に住む「みんな」が主人公。街づくりを自分事として捉え、持続可能な街づくりを目指す。
岩国に住む「みんな」が主人公。街づくりを自分事として捉え、持続可能な街づくりを目指す。

株式会社街づくり岩国
所在地:山口県岩国市麻里布町2-3-6
電話番号:0827-28-6020
URL:https://machi-iwk.jp/
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。